NARUNARU

空気を食べるナルナル菌



上写真
 ナルナルはビニール袋に入れて密閉すると、徐々に真空パックのように圧縮されて縮小します。

地球の大気の成分は8割が窒素です。残りの2割が酸素で出来ています。地球温暖化の原因と言われる二酸化炭素は0.04%しか含まれていません。
 ※大気の組成については、測定方なんやららで常に変化しております。ここではWikのデータを借りました。
 といっても、微細な違いですので、ほとんど無視していい数値でしょう。

 つまり、ナルナル菌群は空気中の窒素や酸素などの成分を体の中に蓄えて利用していると考えられます。
空気中の成分は微生物の体を構成する大事な元素なのです。

 植物にとってもっとも大切な栄養素が窒素です。窒素がないと植物は生育ができないのです。
 植物の必須栄養素といって窒素、リン酸、カリがないと植物は生育できません。
これまで、窒素を固定する微生物として確認されているのは担子菌(キノコ)の仲間だけです。
ですから、キノコのいない畑では窒素肥料を撒かないと植物は育たないと考えられてきました。

 しかし、自然の森の中では木々が豊かに育ち、草原では草が生えます。
キノコの生えていない場所でも雑草はたくましく成長しています。
ということは、植物はどこからか窒素を吸収して体を維持しているのです。
 その役目を菌類が空気中の窒素を蓄えて植物に供給しているという事が分かります。

 最近の研究では、菌糸だけ伸ばして実をつけないキノコが多数存在する事が分かってきました。
白い菌糸を伸ばす菌は、糸状菌と呼ばれています。この菌の仲間には担子菌類が多数含まれているのです。
ナルナルのなかにもこの担子菌類がふくまれていると考えられます。
それも空気中の窒素をよく吸収して、植物に与えてくれる菌類です。
ですから、施肥なしでもナルナル菌が肥料を作って植物にあげてくれます。
蘭菌と呼ばれる植物共生菌も空気中の窒素を吸収して蘭を育てているのです。

このような作用を空気中の窒素固定と言います。

窒素固定生物 (参考)

A.非共生生物
 1. 細菌
  a. 好気性細菌
    Azotobacter,Beijerinckia, Azotmonas,Azotococcus
  b. 通性嫌気性細菌
    Klebsiella, Bacillus
  c. 嫌気性細菌
    (i) 非光合成細菌
      Clostridium,Desulfovibrio
    (ii) 光合成細菌
      Rhodospirillum,Chromatium, Chlorobium
 2. 藍色細菌 (シアノバクテリウム)
      Nostoc, Anabaena,Calothrix

B.共生生物
 1. マメ科植物と根粒バクテリアの共生
       宿   主
   エンドウ, インゲン, ダイズ, シロツメクサ アルファルファ, ルピナス等
       共生バクテリア
    Rhizobium (根粒菌)

 2. マメ科以外の植物との共生
   ハンノキ (被子植物) Frankia (放線菌)
   ドクウツギ (被子植物) Streptomyces (放線菌)
   グンネラ (被子植物) Nostoc
   Macrozamia(ソテツ植物) Nostoc, Anabaena
   アカウキクサ (シダ植物) Anabaena
   ウスバゼニゴケ(苔類) Nostoc

 
理科年表2021  著者名国立天文台 編
発行元丸善出版 発行年月日2020年11月 より転載しました。
https://www.rikanenpyo.jp/

共生生物として、根粒菌、放線菌などが挙げられています。